新作能『針間(はりま)』

■あらすじ

今から1560年前の安康天皇(あんこうてんのう)3年10月、市辺押磐皇子(いちのベのおしはのみこ)が、皇位継承の争いから大泊瀬皇子(おおはつせのみこ、後の雄略天皇)に近江国で殺された。市辺押磐皇子の2人の息子「おけ」と「をけ」は、身の危険を感じ、日下部連(くさかべのむらじ)に導かれて、播磨国の明石や三木の志深(しじみ)村の岩室に隠れ住んだ。身をやつし、志染村の伊等尾(いとみ)の家で牛飼いの下男として仕えていた2人の皇子は、数年後のある日、伊等尾の家の新築祝いの宴席で歌を所望され、歌い舞いながら、ついにその歌詞で自分たちの正体を明かす。同席していた国司の少楯(おだて)は驚いて都に報告。「おけ」と「をけ」2人の皇子は都に迎えられ、弟の弘計(をけ)王が即位。兄の億計(おけ)王は皇太子となった。